第12回全国大会開催のご挨拶

第12回全国大会の企画・運営を大阪・和歌山支部が担当し、2016年9月10日~11日にかけて、大阪上本町にある大阪国際交流センターで全国大会を開催させていただくことになりました。開催地は真田信繁(幸村)が築き戦った真田丸ゆかりの地であります。

虐待、いじめ、不登校など、あるいは教育や福祉の分野での子どもたちへの支援など、心理に関する相談や援助への期待は高く、それについての心理専門職の活用が常に求められています。このことは、日本臨床発達心理士会も支持した公認心理師法案の提出・成立、そして指定試験機関による公認心理師試験のことなどの動きにつながっています。こうした今、私たちに求められるのは心理専門職として一層の資質の向上と適切な活動の継続であろうかと思います。

そうした想いと共に、今大会では心理専門職が出会う様々な関係性を取り上げたいと考えています。心理支援においては、家族関係の支援のみならず、当事者どうしの関係性への支援、支援者と支援対象の関係性の形成などいろいろな形の関係性の課題があります。そこで、「関係性を築き、支える臨床発達心理支援の可能性」というテーマのもと、臨床発達心理士の特徴である発達へのこだわりとイノベーションが感じられる全国大会になるよう大阪・和歌山支部一同、励みたいと願っております。

臨床発達心理士の皆さまが多数お集まりいただき、充実した大会になりますよう、皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

2016年1月
一般社団法人 臨床発達心理士認定運営機構
日本臨床発達心理士会
第12回全国大会準備委員会 委員長 山本 利和

先生方にはお変わりなく、公務にご精励のことと存じます。さて、今年も年次大会の季節が巡って参りました。今回の大会テーマは「関係性を築き、支える臨床発達心理支援の可能性」、主催支部は大阪・和歌山支部、大会委員長は山本利和先生(大阪教育大学)、事務局長は米澤好史先生(和歌山大学)にお世話になっております。是非、多くの会員の諸先生方のご参加をお待ちしております。

昨年大きな話題を集めた書籍の一つに、トマ・ピケティの『21世紀の資本』があります。 多くの解説書が出ておりますので今更ですが、要するに資本の収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きいので資本をもつ人はますます富み、逆にもたない人は(特にパイの大きさが限られている場合)ますます貧しくなっていくという現象を、経済学から説明したものです。もちろん、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や、グーグル創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・プリン各氏、あるいはユニクロの柳井正氏のように、起業によって巨万の富を手にした人たちもいますが問題は、社会に進行する「格差」が貧困を招き寄せ、子どもたちから教育の機会均等を奪っているという点にあります。現代は、上位62人の所得が下位36億人の所得合計に等しいという「格差」社会なのです。

内閣府の平成26年度版「子ども・若者白書」では、日本の相対的子ども貧困率は15.7%で、OECD平均の 13.7%を上回ることが報告されております。子どもの発達には様々な要因が絡みますが、個体発達を生命生態学的視点からみるブロンフェンブレンナーは、発達を身近にある様々なレベルの要因の合同関数×人×文脈×時間の結びつきという合成関数によって定義しています(PPTC; Bronfenbrenner & Morris, 2006)。要するに個体発達は様々な環境要因と個人、環境がもつこれまた様々な文脈、さらには時間レベルが複雑に絡み合って進行していくと考えるのですが、貧困はその環境要因の最たるものでしょう。

このような視点から、彼は子どもの貧困にも積極的に取り組み、子どもたちの環境改善に努力をしました。丁度、皆さんが子どもたちを含む障害をもつ全ての人たちの環境改善に努力していらっしゃるのと同様です。

公認心理師法案が成立し、心理学ワールドにも新しい波が押し寄せています。私たち臨床発達心理士は、前にも増して社会貢献に尽力し、この資格を公認心理師の上位資格に持って行くべく努力をすることが求められています。全国大会はその意味で、多くの仲間と交流して様々な情報を摂取し、力量を高める絶好の機会です。多くの方々の積極的な参加を期待しております。

2016年1月
一般社団法人 臨床発達心理士認定運営機構
日本臨床発達心理士会 幹事長 荘厳 舜哉

JACDP 臨床発達心理士